2015年8月10日月曜日

DPC請求開始までの道のり(前編)

 727()DPC評価分科会にて、DPC対象病院への移行手順や申請期間(*1)についての議論が行われたことを受け、DPC対象病院移行を本格的に検討し始めた病院様も多いのではないでしょうか。
*1:正式な決定は、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論後になります。

 今回は、DPC対象病院への移行を検討されている病院様向けに、今までのコンサルティング経験から、DPC請求開始までに実施することが望ましい下記4つの事項について説明していきます。
 なお、来年度からDPC準備病院に移行する予定の病院様については、2年後のDPC請求開始が可能かどうかの、参考にしていただければと思います。
DPC請求導入意思決定の院内周知
②部門別のDPC勉強会の開催
③入院請求体制の整備
④患者様向け資料の作成

DPC請求導入意思決定の院内周知
 DPC対象病院への移行を決定した後にまず行うこととして、「来年度からDPC請求を開始する」という方針の全職員への周知があげられます。
具体的には、DPC請求開始までのスケジュールや、各部門で準備すべきことを全職員に共有することになります。加えて、DPC対象病院への移行の意思決定に至るまでの経緯も共有することで、今後の準備業務に対する職員の納得感を高める効果が期待できます。その際、DPC請求移行時の収入変動シミュレーションなどを行っている場合は、その結果を提示しても良いでしょう。
院内周知後、実務を進めていくにあたっては、「DPC準備委員会」や「DPC導入プロジェクトチーム」などを立ち上げ、諸々の意思決定や指揮命令における権限と責任の所在を明らかにすることが有効と考えます。責任の所在が不明確なプロジェクトは、遅々として進まず失敗に終わる典型です。


②部門別のDPC勉強会の開催
 DPC請求を導入するという事は、単に請求の方法が変わるだけではありません。診療のプロセスにおいても、制度(点数設定や機能評価係数Ⅱ)を見据えて、在院日数の適正化や診療プロセスの標準化を推進する必要があり、医師の協力が不可欠です。また、病床稼働率を維持するためのベッドコントロールも重要であり、看護師においてもDPC制度や請求の仕組みを理解する必要があります。

 したがって、DPC支払制度(DPC/PDPS)に関する知識を高めることを目的とした、職種別の勉強会を開催することをお勧めします。今回は、「診療部門・看護部門向けの勉強会」と「医事請求部門向けの勉強会」について、ポイントを解説しますが、必要に応じて、コメディカル等の他部門向けの勉強会を実施しても良いでしょう。


診療部門・看護部門向け
 診療部門・看護部門向けの勉強会のテーマとしては、DPC請求の仕組みについて』DPC/PDPSにおける診療プロセスの標準化について』2つの視点で実施することが望ましいと考えます。特に『DPC請求の仕組みについて』は、内容として、DPCコード決定までの手順、DPC包括請求と出来高請求の違いといったものが想定され、後編で紹介するDPC請求フローを検討する際の基本知識となりますので、早期(9月~10月頃)に開催すべきでしょう。

 『DPC/PDPSにおける診療プロセスの標準化について』は、診療科別に課題が異なると思いますが、少なくとも下記3点は、全診療科共通で押さえておくべき要点です。
DPC点数の設定方法(入院期間が長くなるにつれて点数が逓減する)
DPC点数内に包括される診療行為
●機能評価係数Ⅱの考え方

 そして、上のような制度の具体的内容を理解した上で、診療科ごとに診療プロセスの見直しに取り組む必要があると考えます。
 各診療科が適切な準備を進めるために、可能ならば、過去1年間のDPC調査データを診療科別に分析することをお勧めします。分析結果をもとに、DPCごとに「現状の平均在院日数はこうなっています」、「DPC制度下では○日を目安にすると良いでしょう」という形で、事務部門からデータに基づいた現状のフィードバックをすることが理想です。


医事請求部門向け
 DPC/PDPSでは、DPCコードごとに一日当たり点数が設定されているため、実際に提供した診療内容に基づく適正なDPCコードの決定が、入院収益および利益に直接的に影響を与えることになります。
したがって、医事請求部門で勉強会を開く際は、DPC請求の仕組みについて』の基本的な内容だけでなく、DPCコーディングについて』重点的に学ぶ場を設けて、コーディングスキルを向上させることを推奨します。

 DPCコードの最終決定権は医師にありますが、各疾患に対する医療資源投入量を、医師が完璧に把握することは現実的に困難であるため、医事請求部門には、医師のDPCコード決定をサポートする役割が求められます。具体的には、下記例のように、医師が選択した病名を診療行為と照らし合わせて検証し、より適切な病名(DPCコード)の選択肢を提示することがあげられます。
このように、DPC/PDPSにおいては、医事請求部門職員のDPCコーディングに関する知識・スキルの向上が不可欠です。

 

弊社では、DPCデータを使った在院日数や診療内容の現状分析勉強会の講師派遣や体制づくりのサポートなどを通して、DPC対象病院移行をご支援しています。詳しくはこちらをご覧ください。


※以上の文章は、弊社コンサルティング部門の見解、意見であることを最後に申し添えます。