2015年8月10日月曜日

DPC請求開始までの道のり(後編)

前編につづいて、DPC請求開始までに実施することが望ましい事項について紹介します。

③入院請求体制の整備
DPC請求を開始するための体制整備としては、『医事システム等の改修』『請求フローに関するルール・役割分担の決定』2点が重要です。そもそも来年41日までに請求体制が整わなければ、退院処理ができませんので、本項が最も優先度の高い事項と言えます。

医事システム等の改修
当然ながら、医事システムについては、DPC請求に対応させる必要があります。各ベンダーの医事システムはそれぞれ便利な機能を有していますが、過去のコンサルティング経験から、注視すべきポイントを2点紹介します。

DPCコードの決定機能
DPCコードを決定する機能を大きく分けると、「入力した様式1ファイルの項目や実際の診療行為から自動的に分岐にかかわる行為を抽出し、機械的にDPCコードを付与するタイプのシステム」と、「ツリー図の分岐にかかわる手術、処置・検査、薬剤、併存症等を、職員が医事システム内の会計カードなどを使って確認しながら、DPCコードを選択するタイプのシステム」が存在します。
 病院によって色々な考え方があると思いますが、職員の労力軽減とミスコーディングの防止を図る上では、前者のタイプのシステムの方が優れていると言えます。
  


●包括対象外となる薬剤の取り扱いに関する機能
一部の薬剤については、特定のDPCの患者様に使用した場合、診療行為すべてが出来高算定になるケースがあります。しかしながら、このようなケースに該当する薬剤は種類が多く、人為的に出来高請求になるか否かを判断するのは、労力が掛かり、請求ミスのリスクも高くなります。
そのため、対象の薬剤を算定している場合は、自動的に出来高算定となる、もしくは、出来高算定を促すようなメッセージが出る、という機能を搭載しているかどうかを確認しておくと良いでしょう。
なお、弊社でもコーディングシステムをご用意しております。この機会にご検討いただけると幸いです。


請求フローに関するルール・役割分担の決定
DPCコードを決定するプロセスでは、医師と医事請求部門の綿密なコミュニケーションが適正な請求に繋がります。よって、入院から退院までのDPC業務フローを可視化し、関係者間で充分に協議した上で、周知徹底することが大切です。参考として、入院から退院までの運用の流れを、職種ごとに表したフロー図を掲載します。(下図はあくまで1つの事例です。)


業務フローの中で特に、「退院オーダーの期限の見直し」について優先的に検討することを推奨します。なぜならば、前編の勉強会の項で紹介した通り、DPCコードに基づいて請求する際には、①医療資源病名の選択が妥当かどうか、②実施した処置や副傷病を正確にDPCコードに反映しているか、などを医事請求部門が確認する時間を要するためです。
DPCコードの妥当性を充分に検証しないまま退院会計を行うと、後日、患者様への追加徴収などが発生する可能性がありますので、退院オーダーから退院会計までは、時間に余裕を持った運用が望まれます。

④患者様向け資料の作成
 入院の請求方法が変更される旨を周知するための患者様向け資料を作成することも必要です。具体的には、ホームページや院内掲示、パンフレットなどがあげられます。内容としては、「積み上げ方式の出来高請求」と「まるめ方式の包括請求」の違いを説明するイラストなどがあります。
在院日数の短縮を実現するには、患者様の理解も必要であることから、自院の主要DPCに関する説明資料(DPC/PDPSの考え方や全国の平均在院日数など)を、別途用意している病院もあります。DPCごとの説明資料については、来年4月までの作成は難しいとしても、徐々に充実させていくと良いでしょう。

弊社では、『DPC対象病院移行に関するサポートサービス』をご用意しています。詳しくはこちらをご覧ください。


※以上の文章は、弊社コンサルティング部門の見解、意見であることを最後に申し添えます。